蕎麦は日本の料理

蕎麦は日本の食文化を代表する料理の一つだが、その原価構造を知ると意外に奥が深い。一般的に飲食店では「原価率30%前後」が目安と言われるが、蕎麦は原材料がシンプルな分、工夫次第で原価率に大きな差が出る。まず主原料となるのが蕎麦粉である。国産蕎麦粉は品質が高い反面、価格も高く、1kgあたり800円〜1,500円程度が相場だ。一方、外国産やブレンド粉を使えばコストは抑えられる。1人前に使用する蕎麦粉は約80〜100g程度のため、蕎麦粉の原価は1食あたり80円〜150円ほどになる。次につなぎ(小麦粉)。二八蕎麦の場合、小麦粉が2割入るため、蕎麦粉100%よりも原価は下がる。小麦粉は1kgあたり200円前後と安価で、1食あたりのコストは10円未満で済む。さらにつゆの原価も重要だ。かえし(醤油・みりん・砂糖)と出汁(鰹節・昆布)で構成されるが、市販の濃縮つゆを使えば1食あたり30〜50円程度、自家製にこだわると50〜80円ほどになる。特に鰹節は品質によって価格差が大きく、原価に直結する。これらを合計すると、ざる蕎麦1杯の食材原価は150円〜250円程度に収まることが多い。仮に店で800円で提供すれば、原価率は約20〜30%となり、飲食店としては健全な数字だ。しかし、ここに人件費・水道光熱費・家賃・製麺設備費などが加わる。特に手打ち蕎麦の場合、職人の技術料=人件費が高くなり、実質的なコストは大きく上昇する。そのため、手打ち蕎麦専門店では価格が1,000円〜1,500円になるのも珍しくない。蕎麦は「原価が安い料理」と思われがちだが、実際は素材・技術・こだわりによって価値が決まる料理だ。安くも高くもできる分、店の戦略と哲学が最も表れやすい一品だと言えるだろう。

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